穴の空いたバケツに水を入れても

もう今の世の中、バケツを使うことも少なくなっているでしょうし、穴が開くまでバケツを使い続けるということもないかもしれませんが・・・それに、今はバケツもプラスチックが多いかもしれません。

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。限りあるあなたのエネルギーを本当に大切なことに使うためのコツをお伝えしています。中心はコミュニケーションや上手な時間管理・習慣化。

特にコミュニケーションでは、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴うなかでも協調していくための伝え方のコツをご提案しています。「頭でわかった」ではなく、実際に身につき日常で使えることを目指します。

ごちゃごちゃと前置きが長いですが、今日は小さな未完了のはなしです。

未完了って何?

まず未完了って何?という話から。未完了とは漢字の通り、未だ完了していないこと。

  • 例えばあなたはアレルギーの薬を毎日飲んでいる。病院に行って薬をもらってこなくちゃいけないんだけれど、グズグズしているうちに薬がなくなった。ああ、いつ行こう・・・
  • 庭の雑草が生えてきた。雑草取りしなくちゃと思いながら、一日延ばしにしている。このところ仕事が忙しいんだから、自分で雑草取りをするか、どこかに頼むか決めなくちゃ・・・と思いつつ先延ばしにしている。だんだん雑草で庭が荒れてきちゃった・・・
  • ロボットクリーナーって案外マメに手入れしなくちゃいけなくて面倒くさい。手入れしてっていうランプがついているんだけれど、明日こそやろうと思って結局先延ばしになっている。

ええ!こんなこと?こんなこと、毎日たくさんあるよ!だめなの?と思ったあなた・・・

だめってことはないです。でも、あなたが思っている以上にこれらの未完了は私達の心を占領して、気を重くしているんです。

それを穴が空いたバケツに一生懸命に水を入れているようなものと表現するのです。一生懸命に水を入れても水は漏れていくだけ。なかなか水は貯まりません。そうやっていつも必死になるのは疲れます。それよりも、バケツの穴をまず塞ぐ方が効果的ですよね。それが、未完了を完了させるということなのです。

未完了があるとなぜ気が重くなるのか?

未完了なんて誰でもあるもの。なのに未完了があるとなぜ気が重くなるのでしょうか?だって、上記の未完了の例なんて日常的なことじゃない?

実は未完了があると、わたしたちの脳は片隅でいつもそのことを気にして考えているのです。「いえ、忘れていますよ」とあなたは言うかもしれない。でも、小さなエンジンがいつも稼働しているようなもの。

一つのエンジンが「アレルギーの薬をもらいに行かなくちゃ」

別のエンジンが「庭の雑草取らなくちゃ」なんです。

そして、エンジンは一つ一つのことがらが完了するまで小さく稼働しているのです。フル回転でエンジンが稼働しているなら気づきやすい。例えば家の購入手続きが進んでいる、みたいな人生の中の大きなこと。

でも、例で上げたような小さなこと、薬を取りに行くだのロボット掃除機の手入れだのは、エンジンが小さく稼働しているのでわたしたちはその存在にも気づかない。でも、確実にガソリンは使っているわけです。だから、小さな気がかりをそのままにしていると、ちょっとずつ気が重くなるのです。

「こんな小さなことも、さっさとやれない自分」と自分に返ってくる

ガソリンは言ってみればあなたの気力、体力のこと。「まさか!こんな小さなことで?」と思ったかもしれません。でも、小さなことだからこそ「こんな小さなこともさっさとやれない自分」と自分にダメ出ししてしまうのです。

「でも、忙しいんです」というときはどうしたら良いでしょう。

一つ一つのタスクを、どの日の、何時にやるのかということを具体的に決めてスケジュールに入れることをおすすめします。やることリスト、ToDoリストをいくら作っても毎週毎週ごっそりとそのまま持ち越しという経験は誰にでもあるのではないでしょうか?

小さなタスクを確実にこなして未完了を完了させる方法

紙のスケジュール帳でもいいし、スマホのスケジューラーでも、あなたが使い勝手がいいものを選びましょう。具体的に、いつ、なんのタスクをやるのか、具体的に入れていきます。

  • ロボット掃除機の手入れにはどれくらいの時間がかかりますか?その時間をブロックしましょう。
  • アレルギーの薬をいつ取りに行きますか?病院までの往復の時間もブロックしてくださいね。

こうやって「やれたらやる」のではなく、「いつやるのか」を一つ一つ決めていきます。「でも、決めても行けるかどうかわからないし」と思いましたよね。急な仕事が入った、家族が熱を出して看病しなくちゃ。人生はそういう予期せぬことだらけ。そうしたら、さっさと予定を組み直しましょう。

いつやるのか、決めない限りわたしたちはやりません。その結果、未完了がたくさん増えていきます。家がものでごちゃごちゃになったら、定期的に断捨離する方も多いはず。

それと同じで、本当にやるべきことなのかと考え直すことも大切ですし、やるべきことならば場所(日時)をちゃんと決めてあげることが重要です。

未完了を完了させて、いつも気持ちが楽な毎日を送りましょう。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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