心に残るドラマ「早春スケッチブック」

大学生の頃、山田太一脚本の「早春スケッチブック」というドラマをテレビで見て、衝撃を受けました。それ以来、山田太一脚本のドラマに注目するようになりましたが、早春スケッチブックが最も好きなドラマであり、これまでの人生の中で影響を受けたドラマと聞かれれば、迷わずこのドラマを挙げるほどです。

平凡な生活を送っている一家に見知らぬ男が介入してくることで、穏やかな生活に波風が立ち、それによって一人ひとりの内面に大きな変化を引き起こす、そんなドラマです。男は妻の昔の男であり、息子の実の父親。この家庭は、連れ子同士の再婚の家庭なのでした。平凡な家庭の家族4人と山崎努さん演じる見知らぬ男との対比が鮮やかでした。平凡で平和な日常を送っているように見えても、人はそれだけの存在ではない、ということが画面を通じて伝わってきました。平凡なサラリーマンを演じる河原崎長一郎さんが、子どもたちに「あっちのほうがかっこいいなんて、お父さんしっかりしてよ!」と反撃され、打ちのめされる。でも、打ちのめされるまでには、男を軽く簡単に排除するところから、「一度だけなら」と妻子を男に合わせて、良心の呵責から逃れようとするところなど、丁寧に心の軌跡を描いています。

私が最も心に残っているのは、最終回でしょうか、河原崎長一郎演じる家庭の父親が、男のもとを訪れ話をしている最中に、仕事関係の2本の電話をかけるところ。1本は、部下への電話で、問題を報告してきた部下を叱りつける口調の電話、もう1本はその原因となった顧客にかける電話で、口調も全く異なり平身低頭な口調。その2本の電話を聞きながら、男がじっと想いをかみしめている表情が素晴らしかったです。こうやって家族のために生きてきた、こういう生き方を自分がバカにする資格などない、と男の考え方も大きく変わる部分が丁寧に描かれていました。

最近では様々なジャンルの専門チャンネルが発達し、昔のドラマを良く見かけるようになりましたが、早春スケッチブックは私の目には止まりませんでした。やっと、数年前に、日本映画専門チャンネルで放送されました。これからも度々、放送してほしい、そんなドラマです。

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本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

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