選択肢が多すぎると選べなくなる

産業医・伝え方コーチの本間季里です。

情報が多すぎると選択できない

あなたは選択肢が多ければ多い方がいいですか?

セーターの色は多ければ多いほうが良いのか?

以前、ベネトンというブランドが商業施設の1階の通りから一番良く見える場所に店を構えていた時代がありました。カーディガンやセーターなどアイテムのデザインはオーソドックスでしたが、同じ型でも何十種類という色を取り揃えてきれいに並べて人々の目を引いていました。

当時の私は、あれだけ色が揃っていたら、自分の好きな色、似合う色のものが選べていいだろうなと考えながら店の中を遠目に眺めていました。

でも、考えてみると当時の私は一度もその店に入ったことはなかったんですよね。当時の私には高嶺の花だったということもあります。でも、あれだけの色のなかから、どうやって選ぶんだろうという気持ちもありました。目移りしちゃって決められない・・・

選択肢が多すぎる→迷って保守的な選択になる

それからずっと経って、ある証券会社のCMだったと思うのですが、「人は選択肢が多すぎると迷ってしまって決められない。それでも決めようと思うと、結局最も保守的な選択をする」というセリフがありました。

私はそれをみて、「そうか、選択肢は多ければ多いほど良いというわけでもないんだな」と妙に納得した覚えがあります。

レストランで「どれでも良いよ」と言われて、返って選べなくなったことはありませんか?強烈に「肉が食べたい!」という欲求があるときならまだしも、それほどの強い欲求がないときは、逆に困ってしまう。

そんなときに、「わ、この魚のムニエル、美味しそう!」という友人の一言で、「ほんとだね、魚も良いね」と、選択肢の範囲が狭まって選びやすくなったりしませんか?

コミュニケーションの場で考えてみると

これをコミュニケーションの場で考えてみるとどうなるでしょう。

ちょっとかしこまった上司と部下の1on1の場で、上司から「どんな話題でもいいよ。好きな話して」と言われても、困ってしまいますよね。本当にどんな話でもして良いのかと思い、趣味のプラモデルのマニアックな話をしたら「そういうことじゃなくて・・・💢」と叱られたような経験があれば尚のこと。

はしごを外されたような経験は多くの人が持っているので、「好きにして良い」と言われるとかえって身構えてしまいますよね。

そんなとき、「好きな話題でいいよ。例えば・・・」と2〜3例を挙げるとわかりやすいですよね。「ああ、この範囲のことなんだな」とイメージしやすくなります。

若手の人になにか困っていることはないかと聞くときも、「例えばこんなこと、あんなこと」と2〜3例を挙げると、考える範囲が明確になって話が出やすいこともあります。

ただし、注意する点も

ただし、注意する点もあります。誘導になってしまうこともあるので、その点は要注意。

「例えばこんなこと、あんなこと」と軽く例を上げたつもりが、「このこと以外はだめ」という受け取り方になってしまうと、話を聞くつもりが変な誘導になってしまう可能性もありますよね。

例を上げて会話がスムースになってきたら、「ほかにはどう?」と視点を広げることも付け加えると良いかもしれませんね。

この記事を書いた人

アバター画像

本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

詳しくはこちらのプロフィールをご覧ください。