ニーズに気づく

産業医・伝え方コーチの本間季里です。

頑張ったことを認めてほしい

先日、友人と話をしていたときに、はた!と気づいたことがありました。それは「頑張ったことを認めてほしい」という私の中のニーズ。

あなたもこんなふうに、「今でもこんな子どもみたいな願望残っていたんだ!」と驚いたこと、ありませんか?

私も今回驚きました。このような「頑張ったことを認めてほしい」という思いはニーズと言います。

ニーズとは?

ニーズは、英語の「need」の複数形、needsです。ニーズは一度満たされるとそこで満足すると言われています。だから子どもの頃に安心安全な環境で、自分の欲求が満たされることが重要なんですよね。

でも、多くの人が必ずしも欲求が満たされて育つわけではありません。

満たされなかったあなたの欲求は、ずっとあなたのなかで「満たされたい」「満たされたい」という思いとともに残り続けます。あなたのニーズが満たされないとどうなるでしょう。イライラしたり焦ったり、不安な気持ちを引きずったりします。そして人は満たされない自分のニーズを満たそうとして行動を起こすことがあるんですよね。これが実は問題なんです。

自分のニーズに気づいたきっかけ

今回、私がこの自分のニーズに気づいたきっかけは、友人と話をしていたときの何気ない会話。そのとき私は、最近はじめた新しい試みについて話していました。

私「新しいことって私にとっては大変なの。でもこんなふうにやっている」

友人「あなたは慣れているからサクッとできるのね」

私「違うよ!慣れてなんかいないよ。難しいことだから必死にやっているんだよ!」

友人「そうなんだ。でも、慣れてるんだよね。良いですよね、サクッとできて」

私はムキになっていました。なぜだろう?片手間に、他のことをしながら聞いている友人に対してムキになって「頑張っているんだよ」と言いながら、ふと気づいたのです。

自分の中に「頑張ったことを認めてほしい」というニーズが眠っていること。

認めてほしかったんだ、小さな私。

ちゃんと私の話を聞いてほしかったんだ、小さな私。

問題なのはニーズそのものではない

問題なのはあなたのニーズそれ自体ではありません。問題なのは、あなたが自分のニーズを理解しないまま、「無意識に行動していること」です。

例えば、前述のわたしの場合でいうとどういうことでしょう。

「サクッとできていいよね」と軽く流されると、私はムキになってしつこく「そうじゃない、苦手だけど、こんなに頑張ったんだよ!」としつこく何度も何度も相手に言うわけです。相手は驚きますよね。でも、「あ、これが本間の満たされなかったニーズなんだな」なんて理解してくれるはずもありません。

「何なんだよ、この人・・・急にムキになって」「何だよ、この人。うざい・・・」と思うだけです。こういうことがあると、人間関係にヒビが入ったり、「あの人ちょっと変だよ」「変わってるよね」と良くない評判が立ったりしてしまいます。

あなたが自分のニーズを理解しないまま無意識に行動してしまうと、思いもかけない結果になってしまうのです。

自分自身のニーズを意識すると

では、どうしたら良いのでしょう。

自分自身のニーズに気づき意識することがいちばん大切なんですね。私の例でいうと、「慣れているからサクッとできて良いね」と軽くいなされたとき、やはりムカッとします。これはまだこのニーズが満たされていないから。

自分自身の満たされないニーズに気づき意識することができていれば、ムカッとした瞬間に、「ああ、これこれ。満たされないニーズが満たされたい!って言っているんだな」と立ち止まることができます。何度も何度も「違うってば!慣れているっていうけど、全然そんなことないんだからね。大変だけど、すごく頑張ったんだってば!」ということはなくなるのです。そうすれば、相手との関係が壊れるリスクも格段に少なくなりますよね。

そして、時間をかけて満たされなかったあなたのニーズを適切に満たせばいいのです。

もっと前に気づけていたら良かったけれど

本当はもっと前に気づけていたら良かった。不必要に相手に食って掛かったり、ムキになって自分が疲れたり、友人を遠ざけたりすることもなかったかもしれない。

・・・・でも、今気づけてよかった。

自分の中のこの満たされなかったニーズを、どうやったら「大人の自分が」満たしていけるか考えられるから。子どもの頃には無理だっただろうけれど、大人となった今の自分なら、どうやって満たしていったら良いか、考えられる。

そして、ニーズというのは一旦満たされればそれで満足するものだから。

ムキになったり、いつまでもモヤモヤしたりするとき、相手の言動がそうさせると思いがち。でも、このやりきれない思いは自分のニーズから来ているのかもしれないということを考えてみても良いかもしれません。

あなたの中の小さなあなたが叫んでいるニーズはありませんか?

この記事を書いた人

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本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

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